市場の作り方・市場の育て方
市場が機能するってどういうことかを手元のメモから整理していく。
背景
- 発展途上国経済の特徴:
- 交換や取引がスムーズにできない
- 「市場がない/機能しない/不完全」→ 市場がうまく機能していない
- -> 交換:個人の間で材やサービスを相互に移転すること
- -> 市場:交換が行われる場、仕組み、ルール、制度
ゴール
- 発展途上経済の経済活動を活性化→ 経済発展
- スムーズな「交換」→ 取引の量と範囲を拡大
- 市場がよく機能する→ 円滑な交換が実現する→ 経済発展
「市場を創る」にあたっての問い
- 原因:
- 何が円滑な交換を妨げるのか?
- なぜ市場が機能しないのか?
- 診断:
- 市場が機能しているかどうかをどう判断するのか?
- 治療:
- どうすれば市場を円滑に機能させられるのか?
- なぜ、その治療法は有効なのか?
- それはどのようなメカニズムで機能するのか?
経済発展とは「市場を創る」こと
- 歴史を見ると、途上国経済が直面する課題はほぼ同じ
- 先達は「社会技術」を開発することで対応してきた
- 社会技術:市場を機能させる、あるいは綻びを繕う仕組みや制度のこと
- OSのバージョンアップのように
- 対する単語は「科学技術」
- 経済史とは、市場の改善と課題解決(と失敗)の記録である。
- 経済発展とは「市場を創り、育てる」歩みを指す。
市場が機能しない例1:マダガスカルの米市場
- 生産量は政府統計によると十分である(政府統計を信じるかどうかの話は別)
- しかし、季節的・地域的に米が不足し、価格が高騰、輸入すらしていた。
- 国内流通がうまくいっていない→ 市場が機能していない状態
- なぜか
- 輸送網が脆弱
- 価格情報の伝達が不十分で裁定のための情報がない
- サーチ・マッチングの摩擦(どこに米あまりが生じているかがわからない)
- 模索過程(価格、取引、タイミングの調整)
- 契約の履行強制:代金回収、品質・品種の不統一
市場が機能しない例2:近代日本の米市場
市場が機能しない例3:近代日本の輸出向け絹織物産業
- 輸出向け絹織物の粗製濫造問題(領事報告の分析資料から)
- 粗製濫造による「声価」失墜
- 見本と異なる
- 品質粗悪
- いい加減な品質検査と証票の濫用
市場が機能するための要件
- 市場が機能しない理由
- 規模の経済
- 外部性がある/公共財(市場の失敗)
- 不完全競争
- 情報の非対称性
- 所有権(財産権)が保護されていない
- 不完備市場(市場の普遍性)
- 情報が円滑に伝達されない
- サーチと模索過程に摩擦がある
- 契約の強制履行ができない
取引の際の摩擦→取引費用>取引による利益→市場の欠如